2011年6月29日水曜日

2011年 6月 27日 統合対策本部共同記者会見:循環注水冷却が本格スタートと思いきや1時間30分で水漏れ停止。海底土の汚染、河川の汚染は深刻。レスポンスに疑問。

2011年 6月 27日 共同記者会見 (37回)

録画 IWJ
本編 http://www.ustream.tv/recorded/15654822
木野さんによるまとめ http://www.ustream.tv/recorded/15656159


■会見のポイント
今回は前向きな報告が一点あった。会見が始まる10 分前、16時20分 についに循環注水冷却が本格敵にスタートした。久々に明るいニュースであったものの、会見終了間際に連絡が入り、ホースから汚染水が漏れだしたため、僅か1時間30分で循環注水冷却がストップ。よって特に進展なし。(翌日28日の14時頃に再開している)

今回の会見で印象的だったのは、ここ数日、原発再稼働に向けて形振り構わぬ経産省の動きに対する手痛い質問の数々。もちろん、民間の大手メディア記者はそんなこと質問しない。

経産省 保安院へ厳しい質問
6月に入ってからの経産省はメディアが報じない事を良いこと原発運転再開のため形振り舞わない行動に。特にここ数日の動きは本性むき出し。NHK石川記者やフリー伊藤さん他、数名の記者が経産省 保安院に対して手厳しい指摘が印象に残った質疑に。細野補佐官のコメントに注目。

以前、細野補佐官はもんじゅは実験炉といいながら、もんじゅの運転再開に関しては、福島に残った核燃料を処分しないのは無責任であると発言している。

やりたい放題の経産省

飯舘村 住民被爆問題 隠蔽疑惑
石川記者、NPJ & 吉本おしどり さんの質問に注目。飯舘村の被爆問題。これまでの会見を数珠つなぎすれば、誰がどう見ても被爆隠蔽、責任逃れを画策しているようにしか見えない。「結婚して子供産みたい」とう飯舘村の女子高生の言葉がいつも脳裏をよぎる。

これまでの状況からみて大量被爆している事は間違いない。彼らの対応は犯罪に等しい行為。本会見や質疑の内容は映像として記録に残るので状況を立証する上で証拠になり得る。将来、司法の場で被告側の席に立つ覚悟はあるのかと聞きたい。特に NHK 石川記者の質問にしどろもどろする原子力安全委員会 加藤審議官の発言は必見。

ブルームバーグニュース稲島記者の質問 ここに注目
原子力安全委員会 加藤、重要だと言いながら水産庁が何やっているか知らない。ここでただ数値を発表しているだけか?文科省は文科省で原子力安全委員会に評価を求めるだけで自分の口からは数値を公表するだけ。

縦割り行政というか関係省庁でちゃんと連携が取れているのか不安になる。原発事故担当相で問題の取り纏めに大きく寄与することを期待したい。それだけの権限を持つのだから。

NHK 大崎記者の質問 ここに注目
テロ対策、作業員の身元まで把握する必要はないという政府の見解に注目。彼らが身元を特定したくない理由は、単に作業員の被爆管理を行いたくないからに過ぎない。原発事業者のずさんな管理、下請け労働者、人材派遣、これまでも被爆従事者はずっと自民党政権下において隠されてきたという事実。

フリーランス 木野さんの質問
最近、汚染水処理が山場だったこともあって、久しぶりにモニタリング、汚染に関する怒濤の質問。海域のモニタリングは不十分と指摘。海産物のモニタリング方法についても。過小評価の検査手法もこの2ヶ月進展しておらず。ストロンチウムなど水産物の分析さえままならない状況で魚が消費されている現状。

特に海産物に関する水産庁の調査でストロンチウムなど主要三核種以外の放射性物質の調査は、4月上旬に採取して、結果が出たのが6月27日ととてもやる気があるようには見えない。

食品検査にしても自信で行えない県、自治体が多く、専門機関に依頼している現状があり、これまでの一貫した過小評価の国の姿勢を鑑みて流通している食品が本当に安全なのかという不信感が強くなるばかり。同日の原辞書力安全委員会のブリーフィングで摂取制限値の暫定的な値を見直す動きもある。

明日は東電の株主総会のため、統合対策本部共同記者会見は休み。次回は明後日、29日。最後の日本インターネット田中記者の質問にも注目。関西では大株主も脱原発を訴えているだけに全国でも関心は相当高いと思われるが、公開されるのは最初の30分のみであり原発事故により被害者や国民に対する特別な配慮はないようだ。(大株主の賛成多数で原発推進という結果)



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 ~ 循環注水冷却開始の報告 00:12:10~
  • 循環注水冷却の説明  東電 00:14:10~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:22:20~ / 00:24:15~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:28:20~
  • 各プラントの状況 (東電)00:33:05~
  • 質疑 00:41:15~

2011年6月25日土曜日

2011年 6月 24日 統合対策本部共同記者会見:茨城県の浄水から放射性セシウムが検出される。基準値以下で問題なしと安全委員会

2011年 6月 24日 共同記者会見 (36回)

録画 IWJ
本編 http://www.ustream.tv/recorded/15581405
木野さん まとめ http://www.ustream.tv/recorded/15583068



■会見のポイント
久しぶりに細野補佐官から冒頭の挨拶があったが、特に目新しい報告はなし。事故当初から東電から保安に提出された報告書の原文全てが 経済産業省の HP で公開される事が決まった旨の報告。東電と保安院のなれ合いは会見で見て取れるレベルなので今度から 経産省保安院 と表記することに。

プラント関連では、毎日、どの程度の放射能が大気中に放出されているか調査するため、無人ヘリを使って測定を始めているが、そのヘリがエンジン不調で屋上に不時着し、回収の見込みが立っていない旨の報告。

後、汚染水浄化システムの問題でバルブ解法ミスが発覚したが期待した性能の 1/10 程度しか放射性物質(セシウム)を取り除けていない事に対する質問が多かった。IAEA 外遊から帰国後、重要な報告は沢山あった。避難勧奨地点問題や汚泥処理の基準など。関連する質問もなし。

大手民放、新聞メディア記者の関心事はプラント関連と作業員の健康管理や作業環境に関する質問が中心であり、国民目線の指摘、質問は殆どない。自由報道協会、フリーランス記者をはじめ一部の NHK記者しか質問しない状況は変わらず。

質疑関連では 国の玄海原発運転再開の強引なやり方に対する NHK 記者の質問に注目。

茨城県の水道水から放射性セシウムが検出
茨城県の浄水からセシウムが検出された。この件に対し、原子力安全委員会は 「基準値である 200Bq/kg に比べれば 1/500 であり全く問題のないレベルだ」 と評価を纏めているが、安全委員会が定めた暫定基準値は摂取規制、出荷制限を最小限に抑えるために策定された値であり、国際的にみてもあり得ない数値となっている。

アメリカの摂取制限値と比較した場合、約40倍のセシウムが検出された事になる。内部被爆を一切考慮しない原子力安全委員会の定めた 20mSv/y は、法律の 1mSv/y の 20倍だが緊急時だので問題ないとし撤回しない。

1000Bq/kg を超える静岡のお茶が輸入時の水際で発覚したが、静岡県はお茶にして飲めば問題ないと相手国を避難する始末。国内ではメディアが報じないため、食品汚染の実態は知らず全て風評被害扱いになっている。

福島県では深刻な土壌汚染が明らかになっているが、国は農地に対して事故後から現在まで一切対策を示しておらず、現在では福島県全ての農産物の出荷制限が解除されている。経済を維持するために口径摂取による内部被爆は福島県だけでなく広く国民負担してもらう考えだ。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:00~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:00:00~ / 00:00:00~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:01:10~
  • 各プラントの状況 (東電)00:02:50~
  • 質疑 00:23:35~

2011年6月24日金曜日

2011年 6月 23日 統合対策本部共同記者会見:目新しい発表なし。本日23日 情報が開示されない中、もんじゅの復旧作業。福島県、最後まで制限されていたカブ、ほうれん草が出荷解除。

2011年 6月 23日 共同記者会見 (35回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15560893



■会見のポイント
昨日に引き続き大きな発表と進展はなし。汚染水浄化システムの性能が出なかった問題が単純なミスであった事が判明し、既に高濃度汚染水の試験運転に戻っている。

東電が行っている発電所沿岸部4カ所と沖合の海域モニタリングでは、沖合の海底土の新しい核種分析が出ている。この中で主要三核種以外のテルル129M、セシウム136 に、新たにプルトニウム238239240 が分析対象に追加された。

後、毎日、どれだけの放射能が大気中に放出されているのか、不明なのは問題、概算を出せるはずという指摘がこれまでの会見でもあったが、政府指導の下、東電が上部の測定箇所を増やして放出量を算出するためのモニタリングを開始する事がアナウンスされた。

後、十分な情報提供を行わず、高速増殖炉 もんじゅ の危険な復旧作業を本日から開始した事に関連した質問があった。このなかで細野補佐官は、福島原発に残っている核燃料の処分を引き合いに出し、もんじゅの必要性を訴えている。(もんじゅ復旧作業はマスメディアは報じず。)

原発事故が収束しない中、最も危険な原発 "もんじゅ" の年内稼働を目指すという事に問題を感じないのかという指摘も。もんじゅに関してはジャーナリストの江川さん朝日新聞記者が質問している。特に朝日新聞記者の質問に注目。ここ最近、朝日新聞記者はいい仕事していると思う。

その他
本日、厚労省よりこれまで福島県で出荷制限を受けていたカブ、ほうれん草の出荷制限が解除された。

これで福島県のほぼ全ての地域で野菜の生産、出荷が可能に。元々、国が定めた暫定基準値はあり得ない高さ解除されても福島県のセシウム土壌汚染の現状を見れば、とても摂取する気にはなれない。




■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:00~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:03:30~ / 00:07:10~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:12:35~
  • 各プラントの状況 (東電)00:14:05~
  • 質疑 00:24:00~

2011年6月23日木曜日

2011年 6月 22日 統合対策本部共同記者会見:福島市地下水汚染調査開始。高濃度汚染水で汚染水浄化システムの性能が出せず注水循環冷却の目処立たず。

2011年 6月 22日 共同記者会見 (34回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15540876



■会見の主な内容
新たな発表は福島市地下水モニタリング結果と建屋地下上限引き上げの2点。昨日に引き続き、冒頭の細野補佐官の挨拶はないので特に大きな動きはないという事に。また途中退席したこともあり、口を開く機会は一度もなかった。本会見で初めての出来事だったかも。

汚染水処理が時間との戦いとなっているなか、高濃度汚染水に対して当初予定した浄化能力が出ず、炉心循環冷却に移行出来ない事もあり、この点に質問が集中した。どの記者も聞きたいことは近いので繰り返しての質問はすくなかった。

また、国民目線で掘り下げて質問してくれる おしどりさんやNHK石川記者、山崎記者、江川さんがそろって出席されていなかったこともあり、汚染廃棄物処理問題、特定避難勧奨地点問題などの懸案事項について質問される記者はいなかった。そんな訳で共同会見としては異例の 1時間30分という短い会見になった。

後、水産庁から本日付けで福島県東方海域におけるカツオ漁を認める通達が出されている。20日の会見で環境省が示した福島県の放射性物質を含む災害廃棄物処理の指針のPDF資料が公開されている。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 なし
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:00:25~ / 00:04:35~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:06:25~
  • 各プラントの状況 (東電)00:08:50~
  • プロセス主建屋の貯水範囲変更と評価 (経産省 保安院)00:19:20~
  • 質疑 00:22:00~

2011年6月22日水曜日

2011年 6月 21日 統合対策本部共同記者会見:脱原発に関して踏み込んだ質問も。一部既存メディアが報道し始めた事を象徴する会見。特定避難勧奨地点、廃棄物処理など問題山積

2011年 6月 21日 共同記者会見 (33回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15521411
木野さんまとめ http://www.ustream.tv/recorded/15522241
前半映像切れているのでPodcast 添付 Podcast download 


■会見の主な内容
今回、細野補佐官のあいさつはなく、特に大きな動きのない定例の会見。最近、テレビでも脱原発というキーワードが報道れるようになり、マスメディアも少しずつ変わり始めていると感じている。そんな中、今回の会見では NHK記者から脱原発について踏み込んだ発言が相次いだ。共同会見としては短い2時間の会見だったが初めて脱原発に関する質問が出た事に大きな節目を見た気がする。(翌朝のNHK全国ニュースに反映)

世論はネット界隈よりもマスメディアに大きく影響される。細野補佐官の話を聞く限りでは政府が伺っているのは世論よりもマスメディアの動きのように思えてならない。相変わらず大手メディア記者は文科省、原子力安全委員会に対する質問が少ない。

プラント関連での動きでは停止していた汚染水処理システムが流量を調整して稼働再開した点。2号基扉開放が現在も続いている点。18億ベクレルを大気中、環境へ放出することになるため影響はしばらく注視する必要があるが、東電の敷地内モニタリング結果では変化は見られない。関東一圓に影響がでないか気になるので、ここ数日間の原子力安全委員会の評価を注視したい。

前日の環境省の会見に関する質問はなかった。ちなみに環境省のサイトで廃棄物処理の指針関するペーパーは未だ公開されていない。16日の特定避難勧奨地点、汚泥処理、20日の福島県の瓦礫に関する質問はなかった。



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:00~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:00:00~ / 00:00:00~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:00:00~
  • 各プラントの状況 (東電)00:00:00~
  • 質疑 00:03:40~

2011年6月21日火曜日

2011年 6月 20日 統合対策本部共同記者会見:新たに 20代 作業員の250mSv 超被爆が明らかに。環境省から福島県における放射能汚染-瓦礫処理に関する指針が示されるも自治体丸投げ変わらず

2011年 6月 20日 共同記者会見 (32回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15502669
木野さんまとめ http://www.ustream.tv/recorded/15504187


■会見のポイント
6/20 共同会見の主な議題は 福島県内の廃棄物処理作業員被爆調査の2点。プラント関連では倒壊の恐れがあった4号基の使用済み燃料プールの補強工事の一つ、鋼鉄製の支柱工事が終わったという報告。

今回、東電から緊急作業に伴う作業者の被爆線量について説明があり、20代の作業員一人が新たに 250mSv を超える被爆が明らかになった。また、環境省の福島県の担当者が参加し、福島県の放射能汚染された瓦礫の処分に関する指針が発表された。

環境省参加の事前連絡はなく、資料に目を通す時間もないまま先に質問。途中で会見を抜けるという毎度の方法で、質問すらろくに準備できない、次回に機構にも担当者は参会しないという質問を意図的に逃れる意図があるのではないかという展開に。

結局、環境省の担当者がいる間に質問できた記者は2名、帰った後に1名という、国民に情報を公開する気があるのか疑問に思える。(まとめで木野さんが愚痴っています。)

プラント関連では水処理錠がシステムが停止している問題が以前続いている。数珠つなぎされたフィルターが一定量の放射性濃度に達すると交換するという計画となっているが汚染水の放射能レベルが予想以上に高く、先頭のフィルターが短時間で交換目安となる放射性物質を吸着してしまいセンサーが作動して止まったというトラブル。

機械的なトラブルというよりも見通しの甘さが招いたシステム停止という事もあり、関連する質問も。環境省の福島県瓦礫処理に関する質問は前述したとおりであるため、冒頭に説明のあった作業員の被爆状況、内部被爆の実施状況に関する質問が多く見受けられた。

個人的には2号基の二重扉開放による放射性物質(18億ベクレル)環境への放出影響が気になったが、敷地内のモニタリングには殆ど変化がないので環境には影響なしという評価になっている。あり得ない事であり、水素爆発を防ぐために建屋に穴を開ける対策や原発排水基準を超える値を食品の摂取基準に設定するなど、放射能に対する感覚が完全に麻痺してしまっている。

今回、江川紹子さん、NPJおしどりさん、NHK石川記者、山崎記者は不在。よって、文科省、原子力安全委員会に対する質問は殆ど出ず。最近、"保安院+東電" 、"文科省+原子力安全委員会+厚労省+その他" という構成でもいいのではないかと思っている。



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:00~
  • 福島県の放射能汚染廃棄物の処分指針について(環境省) 00:04:10~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:14:00~ / 00:16:45~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:18:20~
  • 各プラントの状況 (東電)00:20:40~
  • 質疑 00:37:00~

2011年6月20日月曜日

2011年 6月 17日 統合対策本部共同記者会見:一ヶ月ぶりの工程表見直し発表。水処理システムトラブル続き、高濃度汚染水で本格稼働。

2011年 6月 17日 共同記者会見 (31回)

録画 IWJ
前半 http://www.ustream.tv/recorded/15433007
後半 http://www.ustream.tv/recorded/15434681
木野さんまとめ http://www.ustream.tv/recorded/15434992


■会見のポイント
本日の会見は、月に一度の工程表見直し。武藤副社長が顔を出すと言うこともあり、普段見かけないテレビ局の記者が多く詰めかけ会見は4時間に及んだ。普段から会見を見ていれば現状発表会みないた印象。大幅に工程表が見直された訳はなく、新たに夏場に向けての作業員の環境改善が示された点の方が大きい。

普段は顔を出さない民放テレビ局の記者の質問は国民目線ではなく質問内容の質が極めて低い。前日16日の会見の方が国民生活の上で重要な内容が多く、民放テレビ局の関心がどこにあるか、この二日間の会見で垣間見える。本日の工程表見直し会見よりも前日の共同会見の方が100倍重要

プラント関連では本日から建屋地下にたまりに溜まった高濃度汚染水の浄化作業が開始される。トラブル続きだったが、水があふれるまで一刻の猶予もない状況で開始されることになった。これまで海へ漏出した放射性物質の量は、環礁水爆実験とは桁違いであり、人類がこれまで経験したことのない深刻な海洋汚染を引き起こしている。今度、原子炉由来の高濃度汚染水が海へ漏れ出れば海産物はおろか海の生態系に壊滅的な打撃を与えることになりかねない。祈るしかない。

2号基の建屋内の湿度下げるため、数日内に二重扉が開かれる予定。これにより、外部に大量の放射性物質がまき散らされる事になる。前回も局所俳風機で殆ど値は下がらなかった。今回も建前だと思われる。どうせ汚染されているんだから環境に影響はないと言わんばかりに完全に開き直っている。前日公表された第二次航空機モニタリングの評価ば本日行われるが、評価といえる程の言及はなかった。相も変わらずの原子力安全委員会。

質疑に関しては、個人的に気になった質問に関して★印。主に国民の生命、財産、環境に関する質問が多いかと。国民目線の質問の多くはフリーランス記者とNHK石川記者、山崎記者、他、NHK記者から。フリーランスの中では、おしどりさん、木野さん、江川紹子さん、最近顔出さないIWJ岩上さんの質問に注目。



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:09:15~
  • 「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況について (東電 武藤副社長)00:12:30~
  • 東京電力事故の収束、検証に関する当面の取り組みロードマップの進捗状況 (東電 松本)00:20:35~
  • ロードマップの評価 (経産省 原子力安全保安院 西山)00:34:40~
  • 原子力被災者に対する対応の取り組みロードマップ (原子力被災者生活支援チーム 宮本審議官)00:40:30~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:47:00~ / 00:49:55~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:51:00
  • 各プラントの状況 (東電)00:53:15~
  • 被爆再発防止対策とプロセス主建屋水移送の評価 (経産省 原子力安全保安院 西山)01:11:20~
  • 質疑 01:17:45~

2011年6月18日土曜日

2011年 6月 16日 IAEA閣僚会議報告書公開依頼、8日ぶりの統合対策本部共同記者会見は問題山積。広範囲にセシウム土壌汚染

2011年 6月 16日 共同記者会見 (30回)

録画 IWJ
前半 http://www.ustream.tv/recorded/15413697
ぶらさがり http://www.ustream.tv/recorded/15415085
木野さんまとめ http://www.ustream.tv/recorded/15415237



■会見のポイント
1週間ぶりの共同記者会見は重要な案件が一度に発表され注目すべき会見となった。

汚泥処理問題に新たな指針
ついに恐れていたことが現実に。これまで放射性物質を含む汚泥処理が問題になっていたが、国から指針が示された。8000ベクレル以下は上に住居を建てなければ普通の産廃と同じに扱ってOKという信じられない処理方針。例のごとく自治体に丸投げ。何十年にわたって産廃処理事業者や自治体が管理できるとは到底思えない。

通常、ドラム缶に入れて保管しなければならない低レベル放射能廃棄物だが、跡地に住宅を建てなければ埋立て処分して良いとし、セメントなど再利用しても構わないという指針が示された。(8000Bq/kg 以下) 確実に放射性物質が日本中に蔓延する事がほぼ確実になった。

雨により地下水に流れ汚染が広がる危険性を指摘する記者が多く、しかも、西日本では大阪で放射能汚染汚泥が検出されているが、この指針は東北、関東の一部の地域に適用される。

特定避難勧奨地点
これまで同心円を基準に考えていた政府は、計画的避難区域にない年間 20mSv を超えるホットスポットの住民に対して政府が対応する事を発表している。この件に関しては江川さんの質問に注目。政府は 20mSv を超える地域に対してポイント(点)と呼び、あたかも極小的なホットスポットのように過小表記しているが、実際には、1ポイントで50世帯近くある。

特定避難勧奨地点という名称は如何に小さなピンポイントであるかという事を強調している。全てにおいて過小評価が前提の国の対応を象徴しているといえる。混乱して範囲について質問する記者も多かった。

子供や妊婦に対して避難ではなく推奨という事になっており、学校の 20mSv 問題と絡めて江川さんが質問している。しかし、校庭問題では学校にいる 8時間の間の話しであり、その上、校庭表面の土を除去するなど自治体で行った対策が線量を下げるなど功を奏しているが、そのような対策も取る事が出来ない。

この問題は、生活の拠点となる家単位であること、確実に高い放射線を浴び続ける点にあり、その家に住み続ける限り確実に年間 20mSv 近い被爆を受ける事になる。このような場所に、子供、妊婦に対して待避させるのは国として当然の措置だが、あくまで住民に避難を推奨する事としている。学校の 20mSv 問題とは比較にはならない酷い話しだ。

その上、少しでも 20mSv を下回る場所は支援の対象にはならない。例えば、年間19.9mSv の場合、その家に住み続けることは確実に 20mSv/年 に近い放射能を浴び続ける事を意味する。頭から支援しませんというのは、住民に対して国が東電をかばい被爆を強要している事に他ならない。線量を下げる事も出来ないため学校の年20mSv問題どころの話しではない。

国が指定した以外、つまり、自主避難は救済対象としない事は一貫しており、避難したくても避難できない状況にある。これまで国が示した方針は全て同心円状の地域のみを限定して避難させ、問題が明るみになるまで放置するといったもので、自主避難した人は後で損害賠償訴訟でも起こしてねと言っているようなもの。

SPEEDIの予測値、航空機モニタリングで明らかになった段階で、予測される地域住民を待避させ、調査後、問題がなければ戻すといった当たり前の対策は一切行わず、外部専門家の指摘を無視して一方的に国が決めた同心円地域で支援を決めるというのはあまりにお粗末すぎる。

この政府の一貫した姿勢は、住民の健康、生命を最優先しているという細野補佐官の説明と大きく矛盾している。家単位で保証するかしないかという判断は、賠償額を少なくする、被害の実態を小さくする以外の理由は考えられない。原子力安全委員会の回答は、毎度のごとく ICRP ではOKを繰り返すだけ。

航空機モニタリングで100kmまでの土壌汚染実態も明らかに。

第二次航空機モニタリングの結果が公表された。今回は 80~100km までの地域。全域で半減期約30年のセシウムが範囲にわたり10万~30万ベクレルとなっており、計画的避難区域にない60km圏内では30~60万ベクレルと深刻な土壌汚染が改めて示されることになった。この評価は明日の会見で原子力安全委員会から発表がある。

空間線量の測定を 地上1mで(文科省)
自治体の自主検査が始まっており、文科省の公表値と大きくかけ離れている事が広く知られてしまったためか、今頃になってようやく 1m の高さ、人の生活空間における空間線量を測る事を決めている。文科省のモニタリング結果と2倍ちかい開きがあることを説明しているが計測はガンマ核種のみであり、アルファ、ベータ核種を含めると更に差が開くと考えられる。

この問題は文科省が空間線量を公表した当所から指摘されており改善しようとはしなかった。地表から受ける放射線の影響で地上に地下ほど線量値は高くなるが、協力している大学などにも 20m 以上の高い箇所で計測するように指示しており、意図的に低く評価してきた。(土壌にしても)国が発表する値は全てにおいて信用できない。

住民の内部被爆隠蔽
NHK石川記者や NPJ おしどりさんが再三指摘している飯舘村の住民被爆問題。これまでも小児甲状腺サーべーの結果や放医研でホールボディカウンターの検査を受けた飯舘村住民に対し、異常なしと診断するだけで検査結果、被爆数値を一切、本人に伝えようとしない。

立ち寄っただけの作業員が大量内部被爆している事から、住民が被爆している事は間違いなく、政府は責任逃れのために半減期の短いヨウ素131が検出されなくなるまで時間稼ぎをしているとしか思えない。NPJ 吉本のおしどりさんの質問に注目。

今回は重要な案件に対する質問が多く質疑には★を付けていません。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 ~動画なし~
  • 年間積算線量20mSv越え地点の対応(保安院)00:00:40~
  • 上下水処理等副次産物の当面の取扱い(国土交通省)00:00:40~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:02:25~ / 00:04:40~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:07:40~
  • 各プラントの状況 (東電)00:13:00~
  • 使用済燃料プール代替冷却浄化系の評価(保安院)00::00~
  • 質疑 00:19:50~

2011年6月15日水曜日

2011年 6月 12日~14日 公表データ (東電・文科省・原子力安全委員会・保安員・厚生労働省・水産庁)

次回の統合対策本部共同記者会見は 6月16日(木)16時30分 予定となっています。会見の模様は IWJ iwakami 1ch でライブ配信されます。細野補佐官帰国後、最初の統合対策本部共同記者会見ということで注目です。

文科省、原子力安全委員会の評価取りまとめも数日おきになってしまいました。ここ数日の大きな動きとしては、福島原発、プラント関連では毎日増え続ける格納容器由来の高濃度汚染水に、突貫工事で建設中のアレバ、キュリオン社の汚染処理プラントが間に合うか、間に合ったとしても安定運用が可能なのかという切迫した状況にあります。試運転では弁の取り付けミスや漏れをパテ埋めするなど問題が続出。

平行してタンクの準備も進められており以前、予断を許さない状況。また、建屋をシートで覆う具体的な計画も発表されていますが、建屋内部の換気で放射能を取り除けるのか不透明な部分も多く楽観できない状況に変わりないといった所。

また、モニタリング関係については目立った変化はないものの、依然 福島原発の海域で高い値が検出されていること、海底土のセシウム汚染と海産物への影響が懸念される点も以前変わらず。

第二次航空機モニタリングの結果は、第一次から1ヶ月以上経過していますが、未だに公表されず。14日付けで最新の水産物汚染状況が水産庁から公表されています。相変わらず身の部分だけ、特定箇所の過小評価検査である事に変わり有りません。理由は迅速最優先、手間省略が理由ですが、グリーンピース等 第三者機関の調査受け入れは未だに拒否しています。

全体的な動きとしては、各都道府県の汚泥から高濃度の放射性物質が検出され、廃棄物が行き場を失っている状況が深刻化。また廃棄物の基準値を引上げ自治体任せにするのか、国の対応が懸念事項になっています。静岡県のお茶から高い濃度のセシウムが検出東京都が100カ所に及ぶ汚染調査を決めるなど、民間や個人の活動で汚染の実態が次々に明らかになってきています。この手の原発マイナスイメージの話題はマスメディアが大きく報じない現状は変わらず。

大手メディアが報じてもネットのみであり、テレビでは殆ど報道されません。報道されても既に過去に起こった出来事、まるで済んだ事のように報道する姿勢には憤りを覚えます。

2011年6月12日日曜日

2011年 6月 9日~11日 公表データ(東電・文科省・原子力安全委員会・保安員・厚生労働省・水産庁)

2011年 6月 9日~11日 関係機関、関係省庁 公表データ

細野補佐官が外遊のため、次回の統合対策本部共同記者会見は 6月16日(木)16時30分 予定となっています。原子力安全委員会の評価資料はチェックしておいた方が良いと思います。

会見が開けない理由はスケジュールは細野補佐官がとりまとめているため、という事になっていますが理由になっていません。関連省庁に関わる質問が多く共同会見の意義は大きいです。取り敢えず、共同会見までは公表された資料を纏める事にします。

2011年 6月 7日 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する 日本国政府の報告書

2011年 6月 7日 に前日 6日 の共同会見で原子力安全 保安院がとりまとめた解析結果が含まれる IAEA に対する日本政府の報告書が発表された。750ページ近くに及ぶ詳細な報告書と完結にまとめた概要版。以下の官邸ホームページで配布されている。




気になった点
原子力安全委員会が食品摂取の安瀬基準値を決めた経緯にふれてはいるものの暫定基準値など具体的な数値には触れられていない。事故の経緯や保安院の分析結果、パラメーターについては詳細に述べられてるのに。不安な国民からの問い合わせにも国としてきちんと対応していると書かれているが、具体的のどのような問い合わせがあり、回答しているかについても一切触れられていない。

各国からの協力の申し出があったことについては触れているが、モニタリングに関して日本が国際的な機関の調査受け入れ全て拒否ている事は触れていない。つまり、国内事情については一切触れない。明らかに内政干渉されたくないという意図が感じられる。日本国民が置かれている現状は諸外国には知られたくないように見える。

原発推進が前提の閣僚級、実務者協議には必要ないということか。地震、耐震性について触れられているが数行程度で踏み込んで書かれていない。これに対し、津波による電源消失に関する説明については必要以上に説明している。全体的には 想定外の津波が全ての原因だった と印象づける内容となっている。

一言で言えば、次に原発を作る際の教訓書。先日の IAEA 調査団の来日は、この報告書を作成するための日本政府との確認作業だったと思われる。現在、細野補佐官はこの報告書を持って各国に説明するために出かけている。


概要版を印刷して読むのも大変なので、音声読み上げファイルを作成しました。2ファイルで合計2時間程度あります。iPhone や iPod Touch であれば、Podcast にして2倍速再生で片手間に聞けますので時間の節約にもなります。忙しくて印刷して読んでる暇がないという方はダウンロードして聞いてください。

概要の構成
  1. はじめに
  2. 事故前の我が国の原子力安全規制等の仕組み
  3. 東北地方太平洋沖地震とそれによる津波の被害
  4. 福島原子力発電所等の事故の発生と進展
  5. 原子力災害への対応
  6. 放射性物質の環境への放出
  7. 放射線被ばくの状況
  8. 国際社会との協力
  9. 事故に関するコミュニケーション
  10. 今後の事故収束への取組み
  11. その他の原子力発電所における対応
  12. 現在までに得られた事故の教訓
  13. むすび

情報弱者に対しての配慮が今の政府には欠けています。ノーマライゼーションの精神で。日本政府が原発を推進している先進国に対して説明するための文章なので、事故後 約3ヶ月間の「経緯」や「政府の姿勢」を知るには、この報告書を読む事が最も手っ取り早い方法だと思います。


2011年6月10日金曜日

2011年 6月 8日 共同会見 11カ所全てのモニタリングポイントでストロンチウムが検出される

2011年 6月 8日 共同記者会見 (29回)

録画 IWJ
前半 http://www.ustream.tv/recorded/15240208
後半 アップロード抜け?
前編 音声のみ ダウンロード
ぶらさがりとまとめ 音声のみ ダウンロード
ぶら下がりの安全委員会 加藤審議官の発言に注目。


■会見のポイント
前日のIAEA 閣僚級会議の日本側の資料が公開されたが関連する質問は思った程多くなかった。原発を推進したいメディア大手としては大方満足のいく内容だったと思われる。概要は読んだが津波が強調された内容となっており釈然としない。また前日に福島第二原発の汚染水を海洋投棄する検討をしていることが明らかになった関係で、放出時期に関する質問が多かった。
プラント関係では冒頭の細野補佐官のあいさつにあるように発電所一部施設で停電が発生し停電が進行していたが会見中に復旧した。幸い大きな事態には発展しなかった。プラント関連の動きとしては建屋地下に溜まっている汚染水処理の問題。

冷却に原子炉容器に水を注入している訳だが注入した水は外に漏れだしており、格納容器由来の高濃度汚染水が毎日増え続けている状況にある。東電は建屋地下の水位の上限を引上げる許可を保安院に求め評価した結果が保安院から発表。連日続く、作業員の救急搬送で現場が苛酷である現状。高濃度汚染水の水位が上がると上で作業している作業員の安全確保や作業性に関する質問も。

汚染水を処理するアレバ社、キュリオン社のシステムが間に合うか、間に合わなかったための一時保管のためのタンクの確保状況などの質問も。高濃度汚染水が大量に海に流れた結果、深刻な海洋汚染が進行しているが、東電松の説明からは逼迫した様子はない。民放大手テレビ局、新聞社の記者は相変わらずプラント関連に対する質問が多い。つまり、東電への質問。

また11カ所全ての測定箇所全てでストロンチウムが検出されている。翌日の NHK 朝のニュースで報道されたが朝だけだった。夜は静岡のお茶からセシウムが検出されたという報道。政府はこれまで土壌調査よりも空間線量が重要とし、土壌汚染の本格的な調査結果が示されたのは5月6日に公開された航空機モニタリングのみ。

毒性の強い核種ストロンチウムの分析についての検査は現在も11カ所のみと分析地点が少ない。翌日 5月 9日の夜には静岡の新茶から国が定めた堅すぎる暫定基準値を更に上回るセシウムが生産者の自主検査により検出され、21時のNHKニュースで報道されている。

何もかも対応が遅い。土壌調査や海洋調査は頑として国際機関の調査申し入れを受けようとしない。これまでの過小評価モニタリングで国と東電の調査は完全に信用を失っており、利害関係にない第三者機関が間に入る意外にないのに。

細野補佐官は前日の IAEA 閣僚会議の報告書をもって原発関係国に報告に。取り纏めができないという理由から、共同会見は戻るまで開かれない。別に細野補佐官がいなくても、東電、文科省のモニタリング評価を原子力安全委員会が取り纏めを行う事は出来るはずだが評価資料は公開されていない。

以前、一週間に一度のモニタリングの方が情報に付加価値があり良いと原子力安全委員会の加藤審議官が発言したことがあった。まるでやる気なし。次の統合対策本部共同記者会見は、6月 16日 16:30 予定となっている。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:00~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:01:50~ / 00:03:45~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:08:35~
  • 各プラントの状況 (東電)00:12:05~
  • 福島第一原発プロセス主建屋 貯水レベルの再変更に関する評価 (保安院)00:21:35~
  • 質疑 00:24:40~

2011年6月6日月曜日

2011年 6月 6日 共同会見 河川の深刻な汚染状況が明らかに。原子力安全保安院による解析結果公表。

2011年 6月 6日 共同記者会見 (28回)

録画 IWJ
前半 http://www.ustream.tv/recorded/15203646
後半 http://www.ustream.tv/recorded/15205026


■会見のポイント
環境モニタリングでは河川底の土から高い濃度の放射性物質が検出されている。最も高いところで、1kgあたり半減期が長く毒性の強いセシウム134=14000ベクレルセシウム137=16000ベクレルが浜通り新田川の木戸内橋で検出されている。福島県と茨城県の県境の淡水魚からも基準値を超える汚染が確認されたばかりだ。

ちなみにチェルノブイリなどヨーロッパで採用される 1㎡(表面積)あたりの放射性物質量で算出するのに対し、日本では意図的に 1kg の土壌に含まれる放射性物質量を測定する異なる手法で計測しているため比較しにくい。しかも、政府は当所、土壌の15cm掘った箇所を測定するよう指示している。(過小評価)この点は5月8日の共同会見で説明があるので参考に。

また、原子力安全保安院による事業者解析の結果が公表された。東電の解析結果を上回るもので、空間に放出された放射性物質の総量は、これまでの約2倍となる 77万テラBq との試算が示された。大手メディアの記者の質問は保安院の報告書に集中。

あくまで津波による電源喪失、冷却が出来なかったことが全ての原因する点は東電も保安院も変わらない。先日、来日した IAEA の調査団も地震によるプラント破壊については一切触れず、津波のみが事故の直接の原因だったとしている。(政府と取り纏めの方向性を確認するための来日だったと思われる)

東電は揺れによる配管破談による原子炉内の水が抜け出たとした場合、シミュレーションでは全ての説明がつくが、プラントパラメーターはそれを示していないため、揺れによる配管は段ではないとしている。

プラントの状況を示すパラメーターはかなり損傷を受けており、水位計の表示も実際とは異なっていた。東電はメルトダウンはしてないという根拠としてずっと水位計の値を主張し続けてきたが、実際には水位計の値は間違っていた。それでもプラントパラメーターが全てという東電の主張は耐震性には問題がなかったことにしたいという強い意志の表れでもある。

IAEA は原発の平和利用を推進する機関であり、核を監視するための機関でもある。予測を遙かに超えた地震は一切無視、古い知見で作られた昔の耐震基準のまま、津波対策と電源だけで安全性を確保できるという事にしたい政府、電力会社(東電)、メディア。明日6月 7日、細野補佐官から報告される「保安院の調査結果を元に作成される IAEA 提出報告書」の内容に注目

気になった質疑に関しては印を付けているので参考にされたし。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:40~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:02:25~ / 00:04:40~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:07:40~
  • 各プラントの状況 (東電)00:13:00~
  • 質疑 00:19:50~

2011年6月4日土曜日

2011年 6月 3日 共同会見 不信任決議案否決後 はじめてとなる統合対策本部共同記者会見はいろんな意味で見所の多い内容に。

2011年 6月 3日 共同記者会見 (27回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15130310


■会見のポイント
今回の会見では重要な案件がいくつかあった。文科省からは月2回集計される空間線量汚染マップの新しい集計結果が公表された。計画的避難区域にある数カ所で積算線量の予測値 20mSv/年を超える高い地域があり、前回よりも更に増加した地点が有ることも明らかに。

つまり、現在も発電所から放出され続け、放射能汚染が現在も進行していることを裏付ける結果となっている。これはあくまで空間線量であり、土壌に降り積もった放射線の影響も含まれると考えられる。政府は IAEA が警告した土壌汚染より空間線量が重要とし土壌汚染の調査については消極的だ。今回、ようやく本格的に土壌汚染調査を開始するとアナウンスした。

保安員の会見で SPEEDI の非公開データが存在していることも明らかになっている。非常に重要な内容になっているが、特に公開されなかったことで大きな問題はなかったようにも受け取れる保安員の発言にも注目。

細野補佐官はアメリカとの協力関係についてアピール。ここで政治が停滞すれば原発事故対応に支障が出ることをアピールしたい思惑があったものと思われるが、確かにこの非常時に協力を拒み、引きずり下ろすことしか考えていない連中は全て自民、公明、民主(鳩山グループ、古株議員)全て原発推進派。

小沢、原口グループは脱原発。(小沢は建前上脱原発) 管総理の原発対応、無能で遅い復興対応に業を煮やして不信任決議に同調したが、管総理が時期を見て退陣すること、若手に託すことで造反を防いだ。現在、民主党で怒っているのは、原発推進派だけ。この時期に地下原発の勉強会をやっている鳩山グループと古株議員。

メディアでは直視するのも恥ずかしいぐらい醜態をさらしている。思惑が外れた大手メディアと一緒になって批判しており、いかにも内容のないお坊ちゃまレベルの批判。原発擁護のために情報を隠蔽、知りながら報道してこなかった、安全デマを流し続けてきたメディアであれば、管総理を躍起になって批判する姿勢は当然のことといえる。

管内閣も同じく原発推進は同じであり、東電を擁護するあまり地域住民の命をないがしろにした対応になった。誰がやっても結果が同じなら方針転換してもらうのが国民にとって最良の方法だと思える。とにかく脱原発を阻止したいメディアの思惑も見て取れる会見となった。

大手メディアの焦点は冷温停止=退陣 時期。プラント関係では逼迫している高濃度汚染水の保管場所が焦点に。250mSv を超える被爆が確実となった事に関連し、同じ作業に従事していた140人に対しても同様の可能性が出てきた。

特に白血病リスクに備えた造血幹細胞の事前凍結保存は、250mSv を超えない対策が重要として政府は必要性はないと否定してきた。しかし大量被爆する可能性が出てきた。コストを優先し人命を軽視してきた政府の対応、責任は重大だ。

質疑では、先日の不信任決議案の採決で造反を丸め込んだ管総理の冷温停止状態を目安にやめるという発言に絡んで、大手メディアは冷温停止の定義についてあの手この手で質問を変え、細野補佐官の口から退陣時期を発言させようという大手メディアの質問内容。非常事態よりも退陣時期以外に興味のない露骨な質問に苦笑。

原子炉を冷やすために注水すればするほど、高濃度汚染水を量産してしまう状況と、先日の台風(低気圧前線)の通過により温泉水の容量が増えてしまいあふれ出る恐れが高まっている事に関して、汚染水を一時保管するタンクに関する質問も多かった。

気になった質問に対しては★で印をつけているので動画を参照されたし。



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:00:45~
  • 海洋生物モニタリング調査 (水産省)00:13:35~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:13:35~ / 00:16:35~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:25:00~
  • 各プラントの状況 (東電)00:27:45~
  • 質疑 00:36:05~

2011年6月3日金曜日

2011年 6月 1日 共同会見 水産庁が約一ヶ月ぶりに参加。過小評価を前提とした水産物検査方法は改善されておらず。

2011年 6月 1日 共同記者会見 (26回)

録画 IWJ
前半 http://www.ustream.tv/recorded/15091551
後半 http://www.ustream.tv/recorded/15091906


■会見のポイント
水産庁の担当者が共同会見に出席した。5月6日の共同会見以降となる。刺身にしたときの身の部分しか検査しない検査方法に批判が出ていたが検査方法に関する改善については何の説明もなかった。つまり、値が過小評価される検査方法は何も改善されていない。(グリーンピースに対し検査方法について、指示したとおりに行うように圧力をかけている事からも政府が過小評価しようとしている事は明らか。)

前回の5月6日の会見では 江川紹子さんがこの点について追求していたが、水産省は1時間で帰ってしまい、遅れて会見に出席した江川さんが質問する事は出来なかった。

450程度の水産物(検体)から5%程度が規準値を超えただけと大した問題ではないように説明しているが、水産物は野菜と同じ2000ベクレルというあり得ない暫定規準値となっているため、国際的な基準でみると大半が汚染されている可能性がある。

これはグリーンピースの調査結果を見ても明らかだ。低レベル放射性廃棄物を超える2000ベクレルという事故後に決めた安全規準値を超える物は出荷されていないから安心だと言われても安心出来る訳がない。

また、この会見では以前から指摘され調査に消極的だった毒性の強い ストロンチウム90 の検査について、文科省はようやく始める意向を示した。しかし、検査ポイントは地上10カ所、海洋6カ所と少ない。

週間金曜日の方も質問されていたが、0~50、50~100、100~500、500~1000、1000~1999ベクレルは全体の割合でどれだけ汚染されているか、骨、内臓、影響の受けやすい部位もしっかり調べなければ本当に信用できない。水産省の担当者はそそくさと会見場を去っていった。

消費者が国際基準に照らし合わせ、例えば 1999ベクレルの魚を摂取するかしなないかの当然の権利さえない。国が勝手な都合で決めた規準値より上か下かでしか、判断できないというのはどう考えてもおかしい。

静岡の茶葉が問題になっているが、食品と毎に全体の消費量としてはこれぐらいだろう問い事で事細かに規準値の上限が異なるが、これも国際的に見てあり得ない数値だ。野菜に関しては説明がつかないほど高い2000ベクレル。

ドラム缶に入れて保管しなければならないような放射性物質を含んでいても、食べても大丈夫というのは誰が見てもおかしい。政府が次にとろうとしている対策は、ドラム缶に入れて保管する必要がある低レベル放射性廃棄物の規準値を大幅に引き上げる事であり法律を改正する動きも出てきている。

こうなれば食品だけでなく汚染された放射性物質を含む建材やコンクリートなど日本中に放射性物質が蔓延することを意味する。

その他、気になった点は、相変わらず飯舘村など被爆した地域住民に対する詳細な内部被爆調査については消極的という点。ここ数日、繰り返し NPJ、NHK石川さんが指摘しているが、住民に対してどれだけ被爆したか数値を伝える事について消極的な姿勢は変わらず。

被爆した事実を証明する事さえ困難にしようと考えているようにしか見えない。あり得ない程高すぎる規準値にしても、将来、健康被害が出た時に自ら保身するための口実、既成事実を作ることしか頭にない原子力安全委員会の態度に憤りを覚える。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:01:00~
  • 海洋生物モニタリング調査 (水産省)00:05:50~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:09:40~ / 00:11:30~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:14:25~
  • 各プラントの状況 (東電)00:16:40~
  • 質疑 00:22:50~

2011年6月1日水曜日

2011年 5月 31日 共同会見 急がれる住民へのホールボディーカウンター被爆検査、政府は消極的

2011年 5月 30日 共同記者会見 (25回)

録画 IWJ
http://www.ustream.tv/recorded/15074158


■会見のポイント
プラント関係では4号機作業中に起きた爆発と5、6号機の取水口シルトフェンス付近に油が浮いている事が見つかっている。何れも大きな問題ではなかった。あと、本日から東電によるライブカメラの運用がスタートしたが、4号機の使用済み燃料プールが壊れていると予てより噂になっているが、4号機のカメラは意図的にプールの要すが分からない場所に設置されておりこの件で懐疑的な質問もあった。

先日、NHK石川記者の質問にあった福島原発に立ち寄った作業員がホールボディーカウンターの結果、とんでもない内部被爆をしていた件だが、間違いなく飯舘村の住民も被爆しており、ホールボディーカウンターによる検査の催促に関する質問が気になった。

この件については政府は消極的で、ヨウ素が消えて検出が難しくなるまでの時間稼ぎをしているように見える。原子力安全委員会は簡易検査の結果、被爆はなかったとし、政府にも検査の必要性を示唆する事はなかった。後、東電 松本と NHK石川記者のやり取りに注目。石川記者の質問の意図を理解していない。前日にも地域住民の被爆について質問しており、住民被爆の事はてんで頭にない事がよく分かる。


■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 00:01:30~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:03:20~ / 00:07:00~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:08:00~
  • 各プラントの状況 (東電)00:09:55~
  • 質疑 00:22:00~

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